目次
子どものお口がポカンと開いていませんか?
お子さんがテレビを見ているときや遊んでいるとき、
「いつも口がポカンと開いている」
「口呼吸をしていることが多い」
「食べるのがとても遅い」
「硬いものを嫌がる」
「食べ物をよくこぼす」
このような様子が気になったことはありませんか?
実は、こうした日常の何気ない様子の中には、子どもの「お口の機能」の発達に関係するサインが隠れていることがあります。
近年、歯科では「むし歯があるか」「歯並びがきれいか」ということだけでなく、子どもが成長していく中で、
- 食べる
- 噛む
- 飲み込む
- 話す
- 呼吸する
- 唇や舌を正しく使う
といった「口腔機能」が年齢に応じて身についているかどうかにも注目するようになっています。
その中で知っておきたいのが、「口腔機能発達不全症」です。
今回は、子育て中の方にぜひ知っておいていただきたい「口腔機能発達不全症」について、できるだけわかりやすくお話しします。
口腔機能発達不全症とは?
「口腔機能発達不全症」という言葉は、少し難しく聞こえるかもしれません。
簡単にいうと、子どもの成長段階において、本来身につけていく「食べる」「話す」などのお口の機能が、十分に獲得できていない状態のことです。
厚生労働省の資料では、明らかな摂食機能障害の原因がないにもかかわらず、「食べる」機能や「話す」機能などが発達段階で十分に獲得できておらず、専門的な関与が必要となる状態とされています。
また、日本小児歯科学会では、子どもの口腔機能発達について、
- 硬いものを食べない
- 食べるのが早い・遅い
- 食べるときに音がする
- ことばが聞き取りにくい
- 音の言い間違いがある
- 口をポカンと開けて口呼吸をしている
- いびきをかく
- 舌の使い方にくせがある
などを具体的な例として挙げています。
つまり、「歯の病気」だけを見るのではなく、お口をどのように使っているのかを見ることが大切なのです。
「口がポカン」は、なぜ気にしたほうがいいの?
子どもの口が少し開いているからといって、すぐに「口腔機能発達不全症」と判断するわけではありません。
一時的に口が開いていることもありますし、鼻づまりなどによって口呼吸になっていることもあります。
ただし、日常的に、
「気がつくといつも口が開いている」
という状態が続いている場合には、一度お口の使い方を確認してみる価値があります。
口を閉じるためには、唇や舌、頬などのお口周りの筋肉が適切に働く必要があります。
また、呼吸は本来、鼻を使って行うことが基本です。
そのため、
「口が開いている」
↓
「口呼吸になっている」
↓
「舌や唇の位置・使い方にも影響する」
というように、いくつかの問題が関連している場合があります。
もちろん、口呼吸には鼻炎やアデノイドなど、鼻や上気道の問題が関係していることもあります。
だからこそ、「口が開いている=口腔機能発達不全症」と決めつけるのではなく、その背景まで含めて確認することが大切です。
こんな様子があれば、一度チェックしてみましょう
ご家庭で、次のような様子がないか確認してみてください。
① いつも口がポカンと開いている
テレビを見ているとき、ゲームをしているとき、ぼーっとしているときなどに、口が開いたままになっていませんか?
唇を自然に閉じている時間が少ない場合は、お口の使い方を確認するきっかけになります。
② 口呼吸をしている
普段から鼻ではなく口で呼吸している様子はありませんか?
特に、寝ているときに口が開いている場合も注意して観察してみましょう。
③ 食べるのが極端に遅い
食事にとても時間がかかる、いつまでも口の中に食べ物が残っている、なかなか飲み込まないという場合があります。
「食べるのが遅い=悪い」ということではありませんが、噛む・まとめる・飲み込むという一連の動作がスムーズにできているかを確認することが大切です。
④ 硬いものを嫌がる
お肉や野菜など、噛む必要のあるものを極端に嫌がっていませんか?
食べ物の好みにはさまざまな理由がありますが、噛む経験や口腔機能との関係も考える必要があります。
⑤ 食べ物をよくこぼす
口に入れたものが口から出てしまう、飲み物をこぼしやすいなどの様子も、お口の機能を確認するきっかけになります。
⑥ 話し方や発音が気になる
言葉が聞き取りにくい、特定の音がうまく発音できないなど、発音について気になることがある場合もあります。
ただし、発音には年齢による発達の違いもあるため、単純に「発音が悪い=問題」と考えるのではなく、成長段階に合わせて評価することが大切です。
口腔機能は「食べる」だけではありません
「口腔機能」と聞くと、「噛むこと」をイメージする方が多いかもしれません。
しかし、お口はさまざまな機能を持っています。
食べるための機能
食べ物を、
取り込む → 噛む → 舌でまとめる → 飲み込む
という一連の動きを行います。
話すための機能
舌や唇、頬などを細かく動かして、さまざまな音を作ります。
呼吸に関係する機能
唇や舌の位置、鼻呼吸・口呼吸なども、お口の発達と関係します。
お口の姿勢
普段の舌の位置や唇の閉じ方なども、子どもの成長を考えるうえで大切なポイントです。
このように、「口腔機能」は歯だけの問題ではありません。
お口全体をどのように使っているかを見ていくことが大切なのです。
そのままにしておけば大丈夫?
「子どもだから、そのうち自然に治るのでは?」
そう思われる方もいらっしゃるかもしれません。
もちろん、成長とともに自然に改善していくケースもあります。
一方で、口腔機能の不適切な使い方や口腔習癖が続いている場合には、食べ方や発音、口呼吸、舌や唇の使い方などに影響が残ることがあります。
日本小児歯科学会も、口腔機能が適切に獲得されていない状態が続くと、顔貌や歯並び・かみ合わせに影響する場合があるため、原因となる習慣などを確認し、年齢に合った口腔機能の発達を促すことが重要だとしています。
ただし、「口腔機能発達不全症があると、必ず歯並びが悪くなる」という意味ではありません。
大切なのは、問題が大きくなってから対応するのではなく、
「今のお口の使い方は、年齢に合っているかな?」
と早い段階から確認しておくことです。
歯科医院では何をチェックするの?
口腔機能発達不全症について確認するときには、単純に歯を見るだけではありません。
例えば、
- 唇をきちんと閉じられるか
- 舌をどのように動かしているか
- 舌の位置はどうなっているか
- しっかり噛めているか
- 飲み込み方に問題がないか
- 呼吸は鼻呼吸か口呼吸か
- 食事の姿勢はどうか
- 普段どのような食事をしているか
- 発音や話し方に気になる点がないか
など、さまざまな角度から確認します。
日本小児歯科学会も、口腔機能発達不全について、生活習慣や口腔習癖のカウンセリング、口腔内の診察、唇や舌の形態・動き、話し方や飲み込み方などを確認する流れを示しています。
つまり、「歯だけを見る歯科」から、「お口の機能と成長を見る歯科」へという考え方が、これからますます重要になっていくのです。
くろおかファミリー歯科が大切にしていること
くろおかファミリー歯科では、むし歯や歯周病を治療するだけでなく、
「そもそも将来、歯やお口で困らないためにはどうしたらよいか」
という予防の視点を大切にしています。
子どものお口についても同じです。
「むし歯がないから大丈夫」
「歯並びがまだ悪くないから大丈夫」
というだけではなく、
きちんと噛めているか?
きちんと飲み込めているか?
唇や舌を正しく使えているか?
鼻で呼吸できているか?
年齢に合ったお口の機能が身についているか?
というところまで、一緒に考えていきたいと考えています。
また、食事や間食などの生活習慣は、お口の機能だけでなく、むし歯予防や子どもの成長・栄養とも深く関係します。
当院では管理栄養士も在籍しているため、必要に応じて、「食べ方」だけでなく「何を、どのように食べるか」まで含めて、お子さんのお口の発達を考えていくことを大切にしています。
「ちょっと気になる」段階で相談してください
口腔機能発達不全症という名前を聞くと、「うちの子は病気なのでは?」と不安になるかもしれません。
でも、まず大切なのは診断名をつけることではありません。
「この子のお口は、今どんな状態なのだろう?」
と知ることです。
口がポカンと開いている。
食べるのが遅い。
硬いものを嫌がる。
よくこぼす。
口呼吸をしている。
いびきをかく。
舌の動きが気になる。
こうした「ちょっと気になる」があれば、ぜひ一度ご相談ください。
子どものお口は、成長とともに変化していきます。
だからこそ、早い段階で気づき、必要に応じて適切なサポートをしていくことが大切です。
「治療する歯科」だけではなく、「お口の機能を育てる歯科」へ。
くろおかファミリー歯科では、お子さんが将来、自分のお口を自分で守っていけるように、成長に合わせたお口のサポートを大切にしています。
お子さんのお口について「これって普通なのかな?」と思うことがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。
監修者情報

経歴
- 2003年 私立淳心学院高等学校卒業
- 2011年 北海道大学歯学部卒業 北海道大学歯学部第一補綴科にて研修を行う
- 2012年 大阪府下の義歯に特化した自費診療専門の医院で勤務
- 2013年 大阪府下 医療法人 副院長就任
- 2014年 同医療法人 分院長就任
- 2024年 くろおかファミリー歯科 開業




