「うちの子、いつも猫背になっている……」
「食事中に横を向いてしまう」
「ソファーで丸くなってゲームをしている」
お子さんの日常生活を見ていて、このような姿勢が気になったことはありませんか?
実は、子どもの「姿勢」は、単に見た目の問題だけではありません。
お口には、食べる・飲み込む・話す・呼吸するなど、さまざまな役割があります。そして、これらの口腔機能は、舌や唇、頬などのお口周りだけでなく、全身の姿勢や日々の生活習慣とも関わっています。
今回は、子どもの成長において「姿勢」がなぜ大切なのか、口腔機能との関係についてお話しします。
目次
子どもの「姿勢」と「お口」は関係している?
口腔機能というと、「舌」や「唇」だけをイメージする方も多いかもしれません。
しかし、お口の働きは、お口だけで完結しているわけではありません。
例えば食事をするときには、
- 姿勢を安定させる
- 食べ物を口に入れる
- 唇を閉じる
- 舌で食べ物を動かす
- 奥歯で噛む
- 飲み込む
といった複数の動きが連続して行われています。
日本小児歯科学会も、口腔機能発達不全症への対応として、食事内容だけでなく「食べる姿勢」や「食べ方・飲み込み方」について確認することが重要であるとしています。
つまり、子どものお口の発達を考えるときには、「歯だけ」「舌だけ」ではなく、毎日の生活全体を見ることが大切なのです。
こんな姿勢になっていませんか?
お子さんの日常を少し思い出してみてください。
□ いつも横向きになってテレビを見ながら食事をしている
食事中にテレビなどを見ながら、体を横に向けたまま食べていませんか?
□ いつも同じ側の頬を下にしている
横向きに寝たり、座ったりするときに、いつも同じ側に体重をかける癖はありませんか?
□ 頬杖をついている
勉強中やテレビを見ているときなど、頬杖をつくことが習慣になっていないでしょうか?
□ ソファーで猫背になってゲームをしている
腰が沈んだソファーに丸くなって座り、長時間ゲームやスマートフォンを使っていることはありませんか?
こうした姿勢が一度見られたからといって、すぐに口腔機能に問題があるということではありません。
大切なのは、「毎日の生活の中で、どのような姿勢が習慣になっているか」を見ることです。
なぜ姿勢が大切なのでしょうか?
お口の機能を適切に使うためには、舌や唇、頬などがうまく働くことが必要です。
そのためには、まず体が安定していることも大切です。
例えば食事中に体が大きく傾いていたり、足が床についていなかったりすると、食べることに集中しにくくなる場合があります。
反対に、足・腰・背中が安定した姿勢で座ることで、食事に必要な動きを行いやすくなります。
日本小児歯科学会では、口腔機能を育てる取り組みの一つとして、食べる姿勢や呼吸を意識した姿勢の練習についても紹介しています。
「良い姿勢」が「良い口腔機能」につながる
子どもの成長を考えるとき、
良い姿勢
↓
舌や唇などを適切に使いやすくなる
↓
食べる・飲み込む・話す・呼吸するなどの口腔機能を育てる
という視点が大切です。
もちろん、姿勢を良くすれば必ず歯並びがきれいになる、という単純な話ではありません。
歯並びやかみ合わせには、遺伝的な要因、顎の成長、舌や唇の使い方、口呼吸など、さまざまな要素が関係しています。
ただし、日常的な姿勢や口腔習癖が、歯並びやかみ合わせに影響することは知られています。
そのため、「歯並びだけを見る」のではなく、お口がどのように使われているのか、その背景にどのような生活習慣があるのかを見ることが大切です。
正しく立つ・正しく座ることから始めましょう
まずは難しいトレーニングを始める前に、普段の姿勢を見直してみましょう。
立っているとき
「頭だけ前に出ていないか」
「背中が丸くなっていないか」
「上体が前に傾いていないか」
などを確認してみましょう。
無理に胸を張る必要はありません。
体を自然にまっすぐ保つことを意識してみましょう。
座っているとき
食事や勉強をするときには、
- 足が安定している
- 腰がずれていない
- 背中が丸まりすぎていない
- 上体が前に倒れすぎていない
ことを意識してみましょう。
特に小さなお子さんの場合は、子どもの体格に合った椅子や足置きを使うことも大切です。
「足がブラブラしている」「椅子が大きすぎる」という場合には、まず座る環境を見直してみるのもよいでしょう。
食事中の姿勢もチェックしてみましょう
食事は、お口の機能を育てる大切な時間です。
テレビやスマートフォンを見ながらではなく、できるだけ食事に集中できる環境をつくりましょう。
また、食事中は、
「足を安定させる」
「体をまっすぐにする」
「口をしっかり使って食べる」
ことを意識してみてください。
日本歯科医師会も、食事の際には姿勢を正して噛むことや、テレビ・スマートフォンを見ながらの「ながら食べ」を避けることを食事のポイントとして紹介しています。
姿勢だけで「口腔機能発達不全症」と判断してはいけません
ここは、とても大切なポイントです。
「猫背だから口腔機能発達不全症」
「口が開いているから口腔機能発達不全症」
というように、一つの症状だけで判断することはできません。
口腔機能発達不全症では、
- 食べる
- 話す
- 呼吸する
- 舌や唇を使う
- 飲み込む
など、さまざまな機能について総合的に確認する必要があります。
日本小児歯科学会でも、診断の際には生活習慣や口腔習癖の確認だけでなく、口唇や舌の形態・動き、話し方、飲み込み方などを確認するとしています。
「姿勢が悪いから歯並びが悪くなる」と単純に考えるのではなく、お子さんのお口と体の使い方を一緒に見ていくことが大切です。
くろおかファミリー歯科では「お口の育ち」を一緒に考えます
当院では、むし歯や歯並びだけを見るのではなく、お子さんが将来自分自身で健康なお口を維持できるように、「お口の育ち」という視点も大切にしています。
口腔機能について気になる場合には、
- お口がポカンと開いている
- 口呼吸をしている
- 食べるのが極端に早い・遅い
- 硬いものをあまり食べない
- 食事中の姿勢が気になる
- 舌の使い方が気になる
- 飲み込むときに舌が前に出る
- 発音が気になる
- いびきが気になる
など、日常生活の様子も含めて確認していきます。
また、当院には管理栄養士も在籍しています。
口腔機能は「歯科医院でトレーニングをする」だけで育つものではありません。
毎日の食事、食べ方、姿勢、生活習慣など、ご家庭での過ごし方も大切です。
だからこそ、歯科医師・歯科衛生士・管理栄養士がそれぞれの視点から、お子さんのお口の成長をサポートしていきたいと考えています。
まとめ|まずは今日の姿勢から見直してみましょう
子どもの口腔機能を育てるためには、歯みがきや定期検診だけでなく、毎日の生活習慣にも目を向けることが大切です。
特に姿勢は、毎日の食事や勉強、遊びの中で自然に身につくものだからこそ、少しずつ見直していきたいポイントです。
まずは今日から、
「食事中、足は安定しているかな?」
「背中が丸くなっていないかな?」
「横向きになって食べていないかな?」
と、お子さんの姿勢を観察してみてください。
小さな生活習慣の見直しが、お子さんのお口の健やかな成長を考えるきっかけになるかもしれません。
「うちの子は口腔機能に問題があるのかな?」
「姿勢や食べ方も歯科で相談していいの?」
そんな疑問がありましたら、ぜひ一度ご相談ください。
くろおかファミリー歯科では、歯だけではなく、お子さんの「食べる・話す・呼吸する」などのお口の機能にも目を向けながら、成長をサポートしています。
監修者情報

経歴
- 2003年 私立淳心学院高等学校卒業
- 2011年 北海道大学歯学部卒業 北海道大学歯学部第一補綴科にて研修を行う
- 2012年 大阪府下の義歯に特化した自費診療専門の医院で勤務
- 2013年 大阪府下 医療法人 副院長就任
- 2014年 同医療法人 分院長就任
- 2024年 くろおかファミリー歯科 開業




