目次
【患者さん情報】
7歳 女性
【相談のきっかけ】
生えてきた下の永久歯がガタガタしているのと上の永久歯がまっすぐに生えていないのが気になって相談に来院されました。
【問診票での「お子さんに当てはまるもの」】
・歯並びが悪い
・食べるのが遅い
・姿勢が悪い
・爪をかむくせがある
・硬いものを食べない





【検査で判明した問題点】
〈形態〉
IL:31mm BL:25mm E-E:32.5mm
歯並び
・上の前歯が外側へ出ている
・左の2番目の上の乳歯と下の永久歯が切端で噛んでいる
・上下の奥歯が内側へ倒れ込んでいる
・上の2番めの歯の生えるスペースが足りない
・下の前歯がスペースが足りず重なって生えている
顔面の発育
・上顎の成長は正常(上顔面過成長)
・下顎の成長も正常だが、下に成長している(下顔面過成長、面長になる可能性)
・下の前歯が外に傾いている
気道
・舌が上顎についていない
〈呼吸と姿勢〉
呼吸
・鼻呼吸? お口がポカンと開いていることがある
姿勢(位置)
正常
〈機能〉
嚥下(飲み込み)
・口をすぼめる ・口輪筋(唇の筋肉)の緊張
・首を動かす ・おとがいの緊張
実際のやりとり
今日は前回色々と検査をさせていただいた結果と今後の治療方針についてお伝えしていきます。今回の検査で判明した問題点とその原因、そしてそれらを解決していくための治療方法についての順番でお話ししていきますね、宜しくお願いします。
宜しくお願いします。
まずお口の中の問題点からお伝えします。下の前歯の永久歯が4本生えていますが、特に2番目の永久歯の生えるスペースがなく内側に生えている結果ガタガタしてしまっています。また上の永久歯はハの字状に生えてきています。そこが一番気になるポイントですよね?
はい、そうです。
上の永久歯は実は一般的な生え方としてハの字状に生えてきます。そのため今の状態が必ずしもダメというわけではありません。このハの字状に生えてきた歯を2番目の臼歯が生えてくる時に手前に押しながら生えてくることでハの字状は改善されていくことが一般的です。
そうなんですね。
ただし今回の場合は今のままだと2番目の歯は内側から生えてくると考えられるため1番目の永久歯とずれて生えてきてしまうことで押される力が弱まりハの字状は改善せれない可能性があります。
上の歯のずれも下の歯のガタガタもスペースが足りないせいですが、その原因は普段のお口周りの筋肉や舌の位置、飲み込み方に原因がありそうです。
そうなんですか。確かに普段は口を開けていることも多いように思います。
飲み込みテストでは若干お口周りの筋肉に緊張が見られます。その緊張が歯を内側に倒しこむ力となって歯並びのアーチを小さくさせスペース不足の一つの原因になることがあります。
また画像から普段の口を閉じている状態の時でも舌はお口の中で下に位置しています。本来は舌は上顎の天井に張り付いているのが正常であるためこういったところも今後是正していく必要がありますね。
はい、よろしくお願いします。
骨格の分析では上あご下あごの成長は今のところ悪くはなく正常の範囲内ですが、下あごの成長が少し下の方に伸びているような分析結果となりました。
お口を閉じる筋肉がしっかりと成長せずお口が空いたままになっていると、これからどんどん下あごが下向きに成長していき面長になる可能性があります。
そうなんですか。
これから矯正治療を始めるにあたり、日々のトレーニングやマイオブレースの入れ方をしっかり協力してやっていただき下あごの下向きの成長を抑えつつ、しっかりと正常な機能が無意識の状態で行えるようにしていき歯並びを改善させていきましょう。
はい、わかりました。よろしくお願いします。
監修者情報

経歴
- 2003年 私立淳心学院高等学校卒業
- 2011年 北海道大学歯学部卒業 北海道大学歯学部第一補綴科にて研修を行う
- 2012年 大阪府下の義歯に特化した自費診療専門の医院で勤務
- 2013年 大阪府下 医療法人 副院長就任
- 2014年 同医療法人 分院長就任
- 2024年 くろおかファミリー歯科 開業