受け口が気になって来院されたM.Yさんの診断

今日は前回色々と検査をさせていただいた結果と今後の治療方針についてお伝えしていきます。今回の検査で判明した問題点とその原因、そしてそれらを解決していくための治療方法についての順番でお話ししていきますね、宜しくお願いします。

まずお口の中の問題点からお伝えします。左の前歯が反対に噛んでしまっていることが一番気になっておられると思います。乳歯の時にはこのような噛み合わせではなかったんですよね？

それであれば上の乳歯の位置は変わらずに、下の永久歯が生えてきた際に乳歯よりも前から生えてきたと考えられます。そのせいで始めに前歯同士が噛むときに当たってしまい奥歯が噛めない状態となっています。そして奥歯で噛むためにわざと下あごを前に出して噛むという「機能性反対咬合」という状態になっています。

下の前歯が上の乳歯よりも前に出てきた原因ですが、飲み込みの時に舌がうまく使えず頬や唇に力が入っていることで奥歯が内側に倒されてしまった結果歯が生えるためのスペースが足りずに前に押し出されてしまったと考えられます。CTでの画像でも舌が上あごにくっついていない事がわかります。また舌の先が下の前歯を押すような位置にあるために前方に動いてしまった可能性もあります。
前回の飲み込みテストではきれいに飲み込めていたのですが、実際は家ではこんなにきれいには飲み込めていないんですよね？

それでもインスタを見て練習するだけでここまでできるのは本当にすごい事です。
家でも早速練習してきてくださってありがとうございます。今後は舌の使い方をしっかりと練習して無意識でも飲み込みがスムーズに行えるようにしていきましょう。

骨格の分析では幸い上あごの成長は今のところ悪くはなく正常の範囲内なので、早期に前歯の反対の噛み合わせを改善してあげることで歯並びが骨格の成長を妨げることはないと思います。

後の問題は右上の2番目の乳歯がないのと、上あごの左右2番目の永久歯が作られていないことです。そのため上あごは最終的には部分的にスペースが残ってしまう事が考えられます。また上と下の真ん中が完全に一致しないこともあると思います。最近の子はこのように永久歯が作られないことがよくあり、悪いことではないのですが今後の見た目のことを考えると歯並びを整えた後に追加で見た目を改善させる処置の検討が必要になるかもしれません。