こんにちは。くろおかファミリー歯科です。
「シーラントって聞いたことがあるけれど、どんな処置ですか?」
「子どもにシーラントをした方がいいのでしょうか?」
「シーラントをすれば虫歯にならなくなるのですか?」
お子さまの定期検診で、このような疑問をお持ちになる保護者の方は少なくありません。
特に小学生になる頃には「6歳臼歯」と呼ばれる永久歯が生えてきます。
この6歳臼歯は、これから長い年月使っていく大切な永久歯ですが、実は生えたばかりの時期は虫歯になりやすい歯でもあります。
そこで活用される予防処置の一つが「シーラント」です。
シーラントは、奥歯の噛む面にある細かく深い溝を専用の材料で埋めることで、汚れや細菌が入り込みにくくする処置です。
厚生労働省も、シーラントを奥歯の溝を物理的に封鎖する虫歯予防法の一つとして紹介しており、特に虫歯のリスクが高い歯に行うことで有効な予防方法としています。
また、2025年には日本小児歯科学会から「乳歯と幼若永久歯の小窩裂溝填塞ガイドライン」が公開され、乳歯や生えたばかりの永久歯に対するシーラントについて、現在のエビデンスをもとに整理されています。
今回は、子どもの虫歯予防を考えるうえで知っておきたい「シーラント」について、できるだけわかりやすく解説します。
目次
シーラントとは?
シーラントとは、奥歯の噛む面にある「溝」を専用の材料で埋める虫歯予防処置です。
奥歯の噛む面には、細かな溝やくぼみがあります。
この溝は歯の形として必要なものですが、歯ブラシの毛先が入り込みにくいため、食べ物のカスやプラークが残りやすい場所でもあります。

特に子どもの奥歯では、
「歯ブラシが届きにくい」
「本人がうまく磨けない」
「生えたばかりで歯質がまだ成熟していない」
といった条件が重なるため、虫歯のリスクが高くなります。
シーラントでは、このような奥歯の溝を専用の材料で封鎖し、汚れや細菌が入り込みにくい状態にします。
つまりシーラントは、
「虫歯になってから治療する」のではなく、
「虫歯になりやすい場所をあらかじめ守る」
ための予防処置です。
なぜ子どもの奥歯は虫歯になりやすいのでしょうか?
奥歯の溝は歯ブラシが届きにくい
奥歯の表面は平らではありません。
細かな溝が複雑に入り組んでいるため、歯ブラシの毛先が溝の奥まで十分に届かないことがあります。
特に生えたばかりの永久歯は、歯ぐきに一部覆われていることもあり、さらに磨きにくくなります。
そのため、
「毎日歯磨きをしているのに、奥歯だけ虫歯になってしまった」
ということが起こります。
生えたばかりの永久歯は特に注意が必要
永久歯は、歯ぐきから生えてきた瞬間に完全に成熟しているわけではありません。
生えたばかりの永久歯は、長年使ってきた成熟した永久歯と比べると、虫歯への注意が必要な時期です。
さらに、奥歯は口の奥にあるため、お子さま自身が歯ブラシを上手に当てることも難しい場所です。
このため、永久歯が生えてきた時期には、歯磨き・フッ素・シーラント・定期的なチェックなどを組み合わせた予防が重要になります。
特に注意したい「6歳臼歯」とは?
6歳頃になると、乳歯の一番奥に「第一大臼歯」という永久歯が生えてきます。
一般的に「6歳臼歯」と呼ばれている歯です。
6歳臼歯は、その後の噛み合わせや食べ物を噛む機能を支える非常に重要な歯です。
ところが、この歯には虫歯になりやすい条件がいくつもあります。
6歳臼歯が虫歯になりやすい理由
まず、口の一番奥に生えてくるため、歯ブラシが届きにくいことが挙げられます。
さらに、生え始めの時期には歯ぐきが歯の一部を覆っていることがあり、歯の状態を確認しにくく、ブラッシングもしにくくなります。
そして最大の問題の一つが、噛む面にある複雑な溝です。
この溝にプラークがたまると、虫歯の原因となる細菌が活動しやすくなります。
そのため、6歳臼歯が生えてきたら、
「もう永久歯だから安心」
ではなく、
「これから一生使う歯だからこそ、最初の時期からしっかり守る」
という考え方が大切です。
シーラントにはどのような効果がありますか?
シーラントの大きな役割は、奥歯の溝を物理的に封鎖することです。
溝をシーラント材で埋めることで、プラークや食べ物が溝の奥に入り込みにくくなります。
厚生労働省の情報では、シーラントには4年以上で約60%の虫歯予防効果が認められており、特にフッ化物の利用と組み合わせることで、さらに虫歯予防効果が高まるとされています。
また、日本小児歯科学会の2025年のガイドラインでも、健全な幼若永久歯の噛む面にシーラントを行うことで、シーラントを行わない場合と比較して虫歯の発生を抑制できることが示されています。
ただし、シーラントをしたからといって、虫歯になる可能性がゼロになるわけではありません。
シーラントはあくまで「虫歯になりやすい部分を守るための予防手段の一つ」です。
歯磨きやフッ素、食生活、定期検診などと組み合わせることが重要です。
シーラントとフッ素は何が違う?
「フッ素を塗っているなら、シーラントは必要ないのでは?」
と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、シーラントとフッ素では、虫歯を予防するアプローチが異なります。
フッ素は、歯の再石灰化を助けたり、歯を酸に溶けにくくしたりすることで、歯そのものを虫歯から守る働きがあります。
一方、シーラントは、特に虫歯になりやすい奥歯の溝を物理的に封鎖することで、プラークや細菌が溝に入り込むのを防ぎます。
つまり、
「フッ素=歯を守る」
「シーラント=虫歯になりやすい溝を守る」
というイメージです。
どちらか一方だけではなく、お子さまのお口の状態に合わせて組み合わせることが大切です。
シーラントをしたら歯磨きはしなくてもいい?
これは非常に大切なポイントです。
答えは、
「いいえ。シーラントをしていても、毎日の歯磨きは必要です。」
シーラントで守れるのは、主に処置を行った奥歯の溝の部分です。
歯の側面や歯と歯の間、シーラントをしていない部分まで守れるわけではありません。
また、シーラントの周囲にプラークがたまれば、別の場所から虫歯になる可能性があります。
そのため、
「シーラントをしたから歯磨きは適当でいい」
という考え方ではなく、
「シーラントで虫歯になりやすい溝を守りながら、毎日の歯磨きとフッ素でお口全体を守る」
という考え方が大切です。
どんなお子さまにシーラントがおすすめ?
シーラントは、すべてのお子さまに一律に行えばよいというものではありません。
お子さまのお口の状態や虫歯のリスクを確認したうえで、必要性を判断することが大切です。
例えば、
・奥歯の溝が深く複雑になっている
・歯ブラシが溝まで届きにくい
・生えたばかりの永久歯がある
・過去に虫歯になったことがある
・プラークがたまりやすい
・歯磨きがまだ一人では十分にできない
・食生活などから虫歯のリスクが高い
といった場合には、シーラントが有効な選択肢になることがあります。
一方で、溝の形態や歯の状態によっては、必ずしもシーラントが必要とは限りません。
だからこそ、定期検診で一人ひとりのお口を確認しながら判断することが大切です。
くろおかファミリー歯科が大切にしている「予防は一つだけではない」という考え方
くろおかファミリー歯科では、シーラントだけ、フッ素だけ、歯磨きだけという一つの方法に頼った予防は行っていません。
虫歯は、
・歯の質
・虫歯の原因となる細菌
・糖質を含む食品の摂り方
・時間
など、さまざまな要因が重なって発生します。
そのため、
「シーラントをしたから安心」
「フッ素を塗ったから安心」
「毎日歯磨きをしているから大丈夫」
と一つだけで考えるのではなく、お子さまのお口全体を見て予防方法を組み合わせることが大切だと考えています。
くろおかファミリー歯科では、歯科医師・歯科衛生士によるお口の管理だけでなく、管理栄養士も在籍し、食生活やおやつの摂り方などについてもご相談いただけます。
歯磨き、フッ素、シーラント、食生活、定期検診。
これらをお子さまの成長に合わせて組み合わせながら、将来まで健康な歯を守っていくことが私たちの目指す予防歯科です。

まとめ
子どもの奥歯、特に生えたばかりの6歳臼歯は、歯ブラシが届きにくく、複雑な溝もあるため、虫歯になりやすい歯です。
シーラントは、このような奥歯の溝を専用の材料で封鎖し、虫歯を予防するための処置です。
科学的にも虫歯予防効果が確認されており、特に虫歯のリスクが高い歯に対して有効な予防方法の一つとされています。
ただし、シーラントは「虫歯を完全に防ぐもの」ではありません。
毎日の歯磨き、フッ素の使用、食生活、定期的な歯科検診などと組み合わせることで、より効果的な虫歯予防につながります。
お子さまにシーラントが必要なのか、いつ行うのがよいのかについては、お口の状態によって異なります。
「6歳臼歯が生えてきたけれど、シーラントをした方がいい?」
「奥歯の溝が深いと言われたけれど、どうしたらいい?」
このような疑問がありましたら、くろおかファミリー歯科までお気軽にご相談ください。
次回は、保護者の方からよくいただく「シーラントに関する疑問」をさらに詳しく取り上げます。
「シーラントは痛くない?」
「乳歯にも必要?」
「シーラントが取れたらどうする?」
「何歳くらいで行うのがいい?」
など、実際の診療でよくいただく質問について、一つひとつわかりやすく解説します。
お子さまの大切な歯を、虫歯になってから治療するのではなく、虫歯になる前から一緒に守っていきましょう。
監修者情報

経歴
- 2003年 私立淳心学院高等学校卒業
- 2011年 北海道大学歯学部卒業 北海道大学歯学部第一補綴科にて研修を行う
- 2012年 大阪府下の義歯に特化した自費診療専門の医院で勤務
- 2013年 大阪府下 医療法人 副院長就任
- 2014年 同医療法人 分院長就任
- 2024年 くろおかファミリー歯科 開業




