【患者さん情報】
6歳 男性
【相談のきっかけ】
小児矯正が気になる、顎が小さいので将来歯並びが心配

【問診票での「お子さんに当てはまるもの」】
・鼻炎アレルギーがある
・食べるのが遅い



【検査で判明した問題点】
歯並び
・上の奥歯が内側へ倒れ込んでいる
・下の奥歯が内側へ倒れ込んでいる
・上の歯が出っ歯になりそう
・上の2番めの歯の生えるスペースが足りなさそう
・下の前歯の生えるスペースが足りなさそう
気道
・低舌位
・気道狭窄
呼吸
・鼻呼吸?
姿勢(位置)
・肩が左下がりになっている
・首が右に傾いている
嚥下(飲み込み)
・口をすぼめる ・口輪筋(唇の筋肉)の緊張
・下唇を巻き込む ・おとがいの緊張
【本日お話しした内容】
顎が小さいのが気になって相談に来ていただきましたが、将来の永久歯の生えるスペースがないのが心配になっているのかと考えられます。
レントゲンからの診断によると実は顎の骨の成長はむしろ同年代のお子さんと比較すると成長しているということが分かりました。下顎は特に成長しているのですが、今回の場合は下顎の成長が前方にではなく下方への成長が見られます。この原因として考えられるのは舌の位置があります。舌は本来であれば上顎の天井にくっついているのが正常な位置なのですが、今回の場合は正面の写真を見てみても歯の隙間から舌が下顎の方に落ちているのが認められます。舌は舌骨筋群により下に引っ張られるような状態なので、舌に力が入っていないと下へ下へと顎が成長してしまいます。上顎の天井の形や水飲みテストの結果からも嚥下時に舌をうまく使えておらず口周りの筋肉に余分な力が入っているのが分かります。この余分な力が嚥下のたびに歯に矯正力として働いてしまった結果、上下の歯が内側へと倒れ込んでいると推測されます。舌や頬、唇などに本来の機能が備わっていればしっかりと歯並びは整っていた可能性があったかもしれません。
また当てはまる項目にお口ポカンがなかったのですが、動画で確認すると所々に口が空いている状態が見てとれます。CTによる確認で軌道の狭窄も認められるので、口呼吸になっており持続した扁桃の炎症がある可能性があります。
このような診断のもと、今後は呼吸、姿勢、舌(嚥下)のトレーニングを行い歯並びが悪くなっている原因に対してアプローチを行なっていきます。それと移行して就寝時と日中1~2時間程度のマイオブレースの使用をおこなうことで歯並びの改善を促していきます。
トレーニングは月に一回来院していただきその都度行っていきますが、お家でも毎日継続して行っていただく必要があります。やった時にできるようになることが目標ではなく、無意識の状態で正常な機能になっていることが目標です。そのためには何度も反復して意識しなくてもできる状態にすることが重要です。そのため、ご本人はもちろんのこと親御さんの協力も必要不可欠になってきます。モチベーションが下がってしまうこともあるとは思いますが家族単位でご本人を盛り上げていただき、今回の治療を成功に導いていきましょう!
監修者情報

経歴
- 2003年 私立淳心学院高等学校卒業
- 2011年 北海道大学歯学部卒業 北海道大学歯学部第一補綴科にて研修を行う
- 2012年 大阪府下の義歯に特化した自費診療専門の医院で勤務
- 2013年 大阪府下 医療法人 副院長就任
- 2014年 同医療法人 分院長就任
- 2024年 くろおかファミリー歯科 開業