コラム
舌苔の写真

舌苔とは?

舌苔とは、読んで字の如く舌の上に生えている苔のようなもののことを指します。

実はこれ、舌の上に溜まってしまっている「汚れ」です。

舌は表面が凸凹になっておりその隙間に汚れが残ってしまうことが多いのですが、その汚れが取りきれなかった場合は舌の表面に舌苔として白っぽく現れてきます。

そしてこの汚れを餌にしてばい菌が繁殖してしまい、そのばい菌が口臭の原因や誤嚥性肺炎といった命に関わるような病気を引き起こしてしまう可能性があるのです。

 

どうして舌苔がつくの?

舌苔が付いてしまう原因は様々ありますが、ここでは代表的なものを3つ紹介します。

 

①汚れの付着、清掃不良

一つ目は食事後の汚れです。

食事後にはお口の中が全体的に食べかすなどの汚れが溜まりやすくなっています。それはお口のなかにある舌も例外ではありません。

歯と歯の間や歯と歯茎の間のように凸凹しているところは汚れが残りやすくなるのですが、舌の表面も実は凸凹になっています。

そのため歯の表面のようにツルツルしているところと比較して、舌の表面は元々汚れの付着しやすいところになっているのです。

そのため歯と同様に、食後は清掃することが必要になってくるんですね。

 

②乾燥

口呼吸や唾液の減少があると舌苔は多くなる傾向になります。

お口の中には唾液が存在しており、その唾液が絶対に限らず歯に付着した汚れなどもある程度流してくれます。これを唾液の自浄作用と呼びます。

しかし口呼吸があるとお口の中は乾燥してしまい、汚れは流されることがなくなりより強固に付着してしまうことになります。

そうなると余計に口臭の原因になってしまうこともあります。

 

③舌の運動不足

舌は飲み込む時に表面を上顎の天井に擦り付けるようにして食塊を喉に流し込むようにして行います。

そのため実は飲み込みがしっかりと行えていれば舌苔がつくことはほとんどありません。

しかし小さなお子さんの場合は舌の動きのみでの飲み込み方法をしっかりと獲得出来ていないことが多くあります。

そのためお子さんで舌苔を見つけた場合には舌の機能がしっかりをと獲得出来ていない場合がありますので一度歯医者さんに相談してみてください。

舌の機能がうまく獲得出来ていない場合は歯並びが悪くなってしまう可能性があります。

また高齢者の方で舌の筋肉が衰えてきてしまっている場合にも同様に舌苔を認める場合があります。

その場合は舌に付着した舌苔のばい菌が誤嚥の際に気管に迷入してしまい誤嚥性肺炎の危険が高くなるため、その場合にも歯医者さんに相談した方がいいでしょう。

 

 

舌苔が付いてしまうとどうなるの?

①口臭の原因になる

舌苔はお口の中のプラーク同様、舌につくとばい菌が繁殖してしまい口臭の原因になります。

 

②誤嚥性肺炎の原因になる

舌苔はばい菌の塊です。このばい菌の塊がお口の中にあることで、誤嚥を起こした際に肺にばい菌が多く流れ込むことになります。

高齢者になると誤嚥した時に本来反射として起こる咳がでにくく、また免疫も低下しているため誤嚥による感染がそのまま重篤な危険に繋がってしまいます。

舌苔がついた時の対処法

舌苔が付いてしまうといいことがありません。そのため、舌苔がついた場合の対処法をお教えします。

 

①舌磨き

舌苔が付いてしまった場合、歯ブラシや舌ブラシを用いて舌を磨く方法があります。

その際に守ってほしいことが2つあります。

・磨く際は「奥から手前に」

舌の表面は繊細なため、磨く際には奥から手前にブラシを動かすように磨いてください。

手前から奥に動かしてしまうと舌を傷つけやすくなってしまうため注意が必要です。

・優しい力でサッサッサと数回でOK

力を入れ過ぎてしまうと舌を傷つける原因になります。

また、気にし過ぎてやりすぎると汚れていないのに舌の表面が白っぽくなってしまうこともあります。

一度のブラッシングで完全に取れることはありませんので、力は極力優しく一度に数回サッサッサ程度にとどめ、歯磨き後に実践してみてください。

舌ブラシの写真

 

②舌の運動

舌がしっかりと動き嚥下が上手に出来ていれば舌苔がつくことはほとんどありませんし、付いていても自然と取れてくれます。

そのため舌をしっかりと動けるようになるためのトレーニングを行いましょう。

お家で簡単にできるものとして「舌回し」や「あいうべ体操」などがありますので試してみてください。

 

③乾燥を防ぐ

お口の中が乾燥していると舌苔はつきやすくなります。

そのため、お口ポカンを意識して閉じるようにする、水分補給をまめに行う、ガムを噛んでみるなどお口の中が湿っている状態をキープできるようにしましょう。

 

④パイナップルを食べる

 パイナップルにはタンパク質分解酵素が含まれています。

そのためパイナップルを食べることでその酵素が舌苔を分解してくれ綺麗にしてくれることが期待できます。

パイナップルの他、キウイフルーツにも同様にタンパク質分解酵素が含まれており同じような効果があると考えられています。

ただしフルーツの食べ過ぎは虫歯の原因にもなりますので、食べ過ぎには注意してください。

パイナップルのイラスト

 

まとめ

舌苔は舌の動きが悪かったりお口の中の清掃不良によって付いてしまうことが多く、舌苔がつくことで口臭や誤嚥性肺炎の原因になってしまいます。

舌はとても繊細なため清掃の際は上記のやり方を参考にして行ってみてください。

気になる方はいつでも歯医者さんにご相談ください。

 

 

監修者情報

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経歴

  • 2003年 私立淳心学院高等学校卒業
  • 2011年 北海道大学歯学部卒業 北海道大学歯学部第一補綴科にて研修を行う
  • 2012年 大阪府下の義歯に特化した自費診療専門の医院で勤務
  • 2013年 大阪府下 医療法人 副院長就任
  • 2014年 同医療法人 分院長就任
  • 2024年 くろおかファミリー歯科 開業
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